未分類

森美術館で「ディン・Q・レ展:明日への記憶」 - ベトナム人アーティストが語る、戦争の記憶と爪痕

2015年2月25日 - 未分類


ディン・Q・レ 《無題(パラマウント)》 2003年 Cプリント、リネンテープ
所蔵:Ann and Mel Schaffer Family, New York

2015年7月25日(土)から10月12日(月・祝)までの期間、森美術館で「ディン・Q・レ展:明日への記憶」を開催。ベトナム人アーティストのディン・Q・レによる、日本で初めての個展となる。

ディン・Q・レは、近年アートが活発化している東南アジアのなかでも、特に国際的評価の高いアーティストの1人だ。カンボジアとの国境付近のハーティエンに生まれた彼は、10歳の時、武装組織ポル・ポト派の侵攻を逃れるため、家族とともに渡米。そこで写真とメディアアートを学んだ後は、継続的に作品を発表してきた。そんな彼の作品が余すこと無く展示される。


ディン・Q・レ 《おかえりなさい、サイゴンへ》 (「新世紀のベトナム旅行」シリーズより) 2005年 デジタルプリント
Courtesy:Elizabeth Leach Gallery, Portland

彼が初めて、脚光を浴びることとなったのが、裁断した写真をタペストリー状に編む手法を取り入れた、1989年以降の作品「フォト・ウィービング」シリーズ。ベトナムの伝統的なゴザ編みから着想を得たという作品は、見る角度や立ち位置によって、全く見え方が変わるユニークな仕掛け。ベトナム戦争をはじめ、カンボジアの遺跡、ポル・ポト派による虐殺、ハリウッド映画など多様なモチーフが織り込まれており、社会的なメッセージも強く込められた。

1998年、ディン・Q・レは「傷ついた遺伝子」シリーズを発表。タブーとされてきた結合双生児用の服や玩具を制作し、ベトナム戦争中にアメリカ軍が散布した枯葉剤との関連を示唆、衝撃を与えた。その後も、完成度の高い映像と本物のヘリコプターや舟などを組み合わせた2006年のインスタレーション「農民とヘリコプター」、かつての従軍画家たちによる100点のドローイングと映像作品「光と信念:ベトナム戦争からの声とスケッチ」などを次々と制作。戦争によって生み出されてきた、人々の痛みや喪失の感覚、難民としての心理的葛藤。必ずしも表には出てこなかったような個々の歴史を、独特のアプローチで取り上げていった。戦争を取り上げつつも、一方で、どうのような状況下においても損なわれることのない人生の輝きを捉えている点も特徴だ。


ディン・Q・レ 《消えない記憶 #14》 2000-01年 Cプリント、リネンテープ 個人蔵

2015年は、ベトナム戦争終結から40年、日本にとっても戦後70年を迎える年だ。そして世界では、また新たな争いが生まれている。そんな激動の節目だからこそ、ディン・Q・レのアートを通して、今一度戦争の記憶を理解してみてはいかがだろう。

【開催情報】
ディン・Q・レ展:明日への記憶
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00–22:00、火のみ10:00–17:00
※ただし9/22(火・祝)は22:00まで
※いずれも入館は閉館時間の30分前まで *会期中無休
入館料:一般1,800円、学生(高校・大学生) 1,200円、子供(4歳–中学生)600円、シニア(65歳以上) 1,500円
※チケットで展望台 東京シティビューにも入館可(スカイデッキを除く)
※スカイデッキへは別途料金。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:03-5777-8600